“意見の対立を乗り越えるための対話として最近注目を集めているのが「NVC」です。
ではNVCとはどういったものなのか、
どうすれば身につけられるのかを見ていきましょう。
NVCは人を思いやるコミュニケーション
NVCは「NonViolent Communication」の略で、
日本に訳すと「非暴力コミュニケーション」となります。
ここで言う暴力にはもちろん「腕力に物を言わせること」も含まれますが、
本質的にはもっと「身近な暴力」を指しています。
最近は有名人などに対するネットでの誹謗中傷が問題になっていたり、
心無い発言で人を傷付けてしまうことがありますよね。
これを一般的に「言葉の暴力」と言い、私たちはそれほど意識せずに他人に対して
言葉で暴力をふるってしまっていることがあるのです。
NVCを簡単に言うと、
言葉の暴力を無くして人を思いやるコミュニケーションを取ろうということです。
NVCを実践するための5つのポイント
NVCは、アメリカの臨床心理学者マーシャル・ローゼンバーグ博士によって
体系化されたものです。
ローゼンバーグ博士はNVCに関する著書の中で
・観察する
・感情に気付く
・感情の責任を人に押し付けない
・ニーズでつながる
・人への要求
の5つを意識することでNVCが実践できると述べています。
人の言動を観察する
まず「観察する」ですが、これは「人の言動を観察する」ということです。
例えば、あまり勉強しない子供に対して「最近全然勉強してないよね」とったとします。
「勉強してない」は子供の言動を観察して得た客観的事実ですが、
「最近」と「全然」は主観的な感覚です。
そのため子供は、「3日前にした」や「宿題はしてる」と「最近」と「全然」の部分に
反論できます。
こうなると売り言葉に買い言葉で、
互いに言葉の暴力をぶつけ合うことになってしまいます。
観察することを意識すると、「毎日1時間勉強するって約束したのに、
昨日も今日も1時間勉強してないよね」となります。
観察して得た客観的事実を伝えることで、言葉の暴力をぶつけ合わずに済むわけです。
自分の感情に気付く
2つ目の「感情に気付く」は、自分の感情に気付くことです。
人と話す際には「自分の感情」を素直に表現することが重要です。
例えばパートナーと話している時に、
「あなたに大事にされてない気がする」と言ったとします。
「大事にされてない気がする」は単に思っていることを伝えたのであって、
自分の感情を表現するのとは少し違います。
自分の感情を意識すると、「あなたと一緒に居る時間が短くてさみしい」とか
「休みの日に一緒に出掛けられないのがかなしい」となります。
「大事にされてない気がする」と言われたパートナーは、「そんなことない、
大事にしている」と反論して言葉の暴力の応酬になってしまいます。
しかし「さみしい」「かなしい」という感情を伝えることで、パートナーに気持ちが伝わり、
言葉の暴力のぶつけ合いに発展しなくなるのです。
感情の原因を人に押し付けない
「感情の原因を人に押し付けない」は、何かしらの感情が沸き起こる原因は
自分自身にあることを自覚して他人に責任を押し付けないということです。
例えばパートナーが自分との約束を守れなかったとします。
約束を守れなかったパートナーに対して、
通常は「約束を守ってくれなくてガッカリした」と言ってしまいがちです。
これでは、「パートナーが約束を守れなかった」ことが「自分をガッカリさせた」原因と
なってしまいます。
そうすると「これには理由があって・・・」とパートナーが弁解することになり、
結果的に言葉の暴力の応酬に発展する恐れがあります。
「約束を守ってくれると期待してたのにガッカリした」と言い換えると、意味は同じでも
「ガッカリした」の原因が「自分がパートナーに期待してたこと」になります。
そうすることで、パートナーには「これからは期待を裏切ってガッカリさせないように
しよう」という相手を思いやる気持ちが芽生えるわけです。
ニーズでつながる
何が正しい間違っているだと、対立や分断をうみます。お互いの感情の奥にある大事にしている価値観・ニーズにつながり対話することで、分かり合えたり、新たな案が浮かんだり、第3の道がひらけたりします。
人への要求
「人への要求」は、人に要求を伝える時は「言わなくても分かるだろう」ではなく、
しっかりと言葉にして要求を伝えることが重要ということです。
例えば、仕事で作成した資料を上司に確認してもらいたい時に、
「資料が完成したので、ここに置いておきます」で終わらせてしまいがちです。
「確認してほしい」という要求をハッキリ伝えていないので、
上司は確認せずにミスが見逃されてしまう恐れがあります。
後でミスが発覚した時に、「どうしてちゃんと確認しなかった」「完成を報告したので
確認してくれると思いました」と互いに責任の押し付け合いが始まってしまいます。
最初から「資料が完成したので、確認してください」と伝えておくことで、ミスを事前に
発見することができて、不毛な責任の押し付け合いをせずに済むわけです。
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NVCを実践するのに意識すべき5つのポイントを紹介しましたが、
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