先日SDGsのロゴデザインやコミュニケーション設計を手がけたヤーコブ・トロールベックさん(Jakob Trollbäck – スウェーデン出身)初来日されました!
初めて来日したヤーコブさんは、6月13日にまずは東京・渋谷のTRUNK HOTELで「DSSE2019~知恵の使い道を、スライドさせる~」(主催・CLAVIS HELICE、斉藤佳祐代表)のワークショップで、その意図や狙いを明かしてくれました。
ちなみに、僕は、6月14日にスウェーデン大使館で行われた、「70億人のためのSDGsコミュニケーションとアクション~デザイン、取り組み、事業機会を語る、スウェーデン&日本ダイアログ~」に参加してきました。
SDGsにヤーコブさんが関わり始めたのは2014年のことです。そこでのコミュニケーションはとても複雑で、しかしそれは悪いことではないといいます。社会を形成するうえでも、新しい技術を開発するうえでも、複雑さは必要だそうです。でも、国連が掲げたSDGsの17の目標と169項目にわたるターゲットは、文字が多すぎ、詩的な表現とはほど遠かったといいます。
しかし、内容は貧困や環境、人の命に関するものなどで、ヤーコブさんが感じていた問題そのものでした。複雑なものをいかにわかりやすくするか、とにかくシンプルな言葉やロゴでデザインしたかったと述べています。
そもそも、ヤーコブさんがこのSDGsに関わるきっかけとなったのは、映画監督・リチャード・カーティスさんが、SDGsがいわゆる「一般受けしない」国連文書のひとつに過ぎず、このままではこの地球の未来の大切な鍵を握る目標が、限られた担当者や専門家にしか知られないと懸念し、ヤーコブさんに白羽の矢を立てたのがきっかけだそうです。
そもそもヤーコブさんはサステナビリティ関連に特別に繋がりがあったという訳ではありませんでした。
この話を受けたときに、まずとても重要だと感じたのが、人々がこの目標を大切に思い、感謝すること、ワクワクする気持ちになれること、だったそうです。
国連でまとめられた目標の文章は、長く複雑なもので、名前のないものでした。そこでまず行ったのが、目標を理解し、名前をつけることでした。直感的に分かる言葉選びです。
そして、次に各目標に色をつけていきました。この色を付けるという作業に対しては、専門家の中で偏見を持つ方もいて、カラフルなものは真面目な印象に欠けるという意見もあったそうです。
ですが、子どもたちを見ていると本能的に色とりどりのものを好み、そして自然にはあらゆる色が存在していることから、ヤーコブさんの想いが込められた色の世界でもありました。
そして出来た、このシンプルで分かりやすいロゴのデザインの力は凄いなぁと思います。人と人を繋ぐ接着剤ですね!
ゴール15の例を短くシンプルにしていく過程ですが、もともとの言葉は、英語では、
Protect, restore and promote sustainable use of terrestrial ecosystems, sustainably manage forests, combat desertification, and halt and reverse land degradation and halt biodiversity loss
日本語では、
陸上生態系の持続可能な利用の保護、回復、促進、森林の持続可能な管理、砂漠化防止、土地劣化の防止と回復、生物多様性の喪失の防止
となり、英語でも日本語でもとても分かりにくい言葉だと思います。
これをヤーコブさんは、「地上で生きていくこと」に他ならないわけだから、
Goal 15:Life on land
陸の豊かさを守る
としました。
他にも、Goal 1:No poverty
貧困をなくそう
としたり、シンプルに「この旅でたどり着くところ」を表現し、みんながワクワクする世界を描くために、「End Poverty(貧困を終わらせる)」ではなく、この言葉をチョイスしました。
表現されているのは、SDGsの目標を達成した時の「私たちの世界」なのです。
気になった話題を、備忘録的にアップしますー☆
気候変動に取り組んで改善をすると、繁栄がもたらされます。そして、繁栄はお金ベースではないということがわかります。
ですので、お金が全てではないという、価値観の基盤を変える必要がでてきます。モノを消費するだけでは、その先に繁栄は無くゲームオーバーとなってしまいます。
鍵となるのは、愛・友情・パートナーシップ・コミュニケーションという人と人を繋ぐものであることがわかります。
モノを買うことで本当の幸福があるのか??
そこに問題提起があるとのことでした。
ビジネス向けの話題ですと、消費者が啓発される必要があります。
一方的な広告宣伝、インフォメーションではなく、買い手と売り手のコミュニケーションが大事です。情報はコミュニケーションではないということを知っておくことが重要です。
デザインとは情報を届けることではなく、コミュニケーションであるということです。
そして、ビジュアル化されたことで、SDGsは世界共通言語となり、万国旗のようにアイコンを見ただけでそれを理解できるようになりました。
この日のセミナーで、ヤーコブさんの後は、日本を代表するサステイナブルを考える企業がセッションしました。イオン、IKEA、マルハニチロ、三菱ケミカル、テトラパックサーキュラーエコノミーといった企業です。
中でも、イオンさんやIKEAさんの事例が聞けて良かったです。
イオンさん
今は環境や健康に配慮したものとしていないものが混在しているけど、少しずつバイヤーや消費者に啓発活動をしていって、サステイナブルな商品を増やしていきたいそうです。
IKEAさん
ベジタリアン食品の拡大などの課題設定とアクションについて。家具から食材まで徹底してサステイナブルにこだわる姿勢が凄いです!
以上、ヤーコブさんのセミナーレポートになります。